旅のストーリー

街の風景を一望のもとに取り込む新築の高層ホテルだけが、モダンホテルではない。
莫大な資金が投じられた、そんな光り輝くホテルに先進性を感じるのは、ある意味では当たり前なのかもしれない。
だが、本当のモダンホテルは、目立たない場所にひっそりと佇んでいることが多い。
数十年、場合によっては100年以上も前の建物を改装してつくられるデザイナーズホテル。
公的機関が使用していた施設、地元名士の豪邸など、どれも当時最高の技術によってつくられた重厚な建築物ばかり。
歴史の歩みを今にとどめる外観はそのまま生かされ、普通に街を往来するだけでは、そこが歴史的建造物のひとつではあっても、最先端のホテルへと生まれ変わっていることに気付く人は、意外と少なかったりもする。
一歩なかに足を踏み入れると、時間の流れは一気に現在、そして未来へと駆け抜けていく。
現地で育まれてきた伝統をベースにしながらも、見たことのないようなアイデア・オリジナリティが反映されたインテリア。
歴史の深みと、洗練されたデザイン性が複雑に絡み合い、そして鮮やかに融合していく。
ひとつひとつの芸術作品を仕上げていくかのように、個性的な内装が施された部屋の数々。
ゲストの感性を邪魔することのない、控えめながらもあたたかなホスピタリティ。
そこには、「知る人ぞ知る存在」であり続けること、そして「その魅力を分かる人だけが訪れる存在」であり続けることに真摯に向き合うホテル側の強い確信を感じ取ることができる。
五感を揺さぶられる刺激的な街、刺激的なホテルとの出会い…そんな旅も最高に面白い。